ロゴアズ建築設計事務所茶室建築研究所
AS architect design office

中国地方の茶室

■明々庵 島根県松江市北堀町278 Tel:052-21-9863

明々庵01 この茶室は、茶人として知られる松江藩七代藩主松平不昧公(1751~1818)の好みによって、松江市殿町の有澤家本邸に建てられ、不昧公もしばしば臨まれた席である。一時は東京の松平伯邸に移されたが、その後松平家から郷国出雲に帰され、昭和三年菅田庵のある有澤山荘の向月亭に隣接した萩の台に建てられていた。

 二畳台目の本席と四畳半の席が組み合わされ、水屋、台所等も完備している。大戦後、管理が行き届かず廃墟していたのを、昭和四一年、不昧公百五十年祭を機に現在の赤山の台地に移された。茅葺の厚い入母屋に不昧公筆の「明々庵」の額を掲げ、茶室の床の間は、五枚半の杉柾の小巾板をそぎ合わせた奥行き(柱芯で一尺六寸二分)の浅い床で、また二畳台目の席は中柱もなく炉も向切りといった軽快なものとなっており、定石に頓着しない不昧公の好みの一端を伺うことができる。
明々庵02