ロゴアズ建築設計事務所茶室建築研究所
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中国地方の茶室

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 この国では、自動車を注文で作ることはなかなかできません。しかし、建築物はすべて注文により創りはじめます。それは、人の意志の反映を計る大きな事業だからです。一生に一度か、せいぜい二度しかない家づくりの機会を、僅かな手間をおしんではなりません。本当に希むもの(それを表現するのが設計図)の、実現を求めるべきです。
 僅か二帖のきわめて小さな空間である茶室においてすら、床の位置は、炉はどこへ切るか、躙口はどちらへ、天井の高さは窓の姿は、等々考えなければならない要素はさまざまあります。組み合わせの数だけ変化がうまれます。すべて創るひとの意志がもとで、亭主の思い入れの内容が、その亭主の席となり、人に語りかける空間となります。住まうことは生活そのものであり、さらに考慮する部分は多いのです。そして、その意思と思い入れを取り込むことによって、家がその人達の住まいとならねばなりません。
 建築家は、建主がいて、敷地があって、その建主にとってなにができるかを考えていきます。光と、風と、緑を大切なものとして、その敷地のもつ宿命的なものは、無視はできないからです。施主の意見は、時として膨大な量になることもありますが、整理をすれば収束すると信じています。空間を設計するということは、実は人の心と動きを設計するということです。ヒトはそこで座るのか腰掛けるのか、ひとりなのかふたりなのか、それとも5~6人なのか、どちらを向いて掛けまたは座り、そこからはどこの何が目に入っているのか、それを思い浮かべなければ空間の形も大きさも窓の高さも決まらず、設計することはできません。条件、要求の本質を見抜くことは、一番大切な設計作業のほとんどすべてなのです。ただ家は100年くらいはもちますが、その間にはさまざまな家族の変化、社会や時代の変化があります。現状を満足させるだけでは十分ではないことも承知していなくてはなりません。

 その上で、私に許されるであろう僅かな部分で求めているものは、感じられる空間、感じられる建築ということです。
                            齋藤 孝夫